失業保険は会社都合で退職した場合、自己都合退職の場合よりも手厚いサポートを受けられます。本記事では、会社都合退職の場合の失業保険について、手続きのステップから具体的な金額、受給期間まで、気になる情報を一つひとつ丁寧に解説していきます。
申請の際にトラブルになった際の対処法や、効率よく失業保険を獲得するための方法まで合わせて紹介しているので、安心して失業保険を会社都合退職として申請しましょう。
会社都合退職とは倒産・リストラ・解雇・会社の不祥事(法律違反・ハラスメント)などによって退職することを指します。詳細については、本記事内の「失業保険を会社都合退職として受給できるケース」にて解説しています。
失業保険は会社都合退職の場合いつから・いくら・どのくらいの期間もらえる?
失業保険は会社都合の場合、7日間の待機期間終了後から受け取ることができ、前職の給料や年齢・雇用保険の加入期間に応じた金額と期間を受給することができます。
詳細については、以下でそれぞれ解説しています。
会社都合退職の場合は、自己都合退職に比べて、すぐに失業保険を受け取れるうえに長期間のサポートが受けられるのが大きな特徴です。
会社都合退職した人は、「特定受給資格者」となり、自己都合退職の人は「一般受給資格者」となります。会社都合退職をして、失業保険について自力で調べる際には特定受給資格者の項目を確認するようにしましょう。

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失業保険を会社都合退職で受け取る際の待期期間を解説
会社都合で退職した場合、失業保険はハローワークで手続きをしてから7日間の待機期間が終われば、すぐに支給が開始されます。
自己都合退職の場合は、この待機期間に加えて原則2ヶ月の「給付制限」があり、すぐには受け取れません。しかし、会社都合の場合はこの給付制限がないため、当面の生活費の不安を早く解消できるのが大きなメリットです。
出典:厚生労働省
失業保険でもらえる金額について解説
1日あたりにもらえる失業保険の金額(基本手当日額)は、離職直前の6ヶ月間の給与の合計額を180で割った金額(賃金日額)のおよそ45%~80%です。給与が低い方ほど、給付率が高くなるように設定されています。
基本手当日額の正確な金額はハローワークで決定されますが、簡単な計算式で目安を知ることができます。
基本手当日額の計算式
(退職前6ヶ月の給与総額÷180)×給付率(45~80%)
基本手当日額は年齢によって上限があります。もとの給料がどれだけ高くてもその上限を超えることはありません。
29歳以下 | 7,065円 |
---|---|
30歳〜44歳 | 7,845円 |
45歳〜59歳 | 8,635円 |
60歳〜64歳 | 7,420円 |
参考:ハローワーク(2025年8月時点の情報)
また、基本手当日額は下限額も決まっているので、収入に不安があった人でも最低限、就職するまでの生活ができるお金は貰うことができます。
基本手当日額の下限額:全年齢で2,295円
参考:ハローワーク(2025年8月時点の情報)
基本手当日額の給与率も収入や年齢によって違いがあります。年齢と給付率、実際の基本手当日額の関係を表にまとめました。
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
離職時の年齢が29歳以下の場合 | ||
2,869円以上 5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上 12,790円以下 | 50%~80% | 4,160円~6,395円 |
12,790円超 14,130円以下 | 50% | 6,395円~7,065円 |
14,130円(上限額)超 | - | 7,065円(上限額) |
離職時の年齢が30~44歳 | ||
2,869円以上 5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上 12,790円以下 | 50%~80% | 4,160円~6,395円 |
12,790円超 15,690円以下 | 50% | 6,395円~7,845円 |
15,690円(上限額)超 | - | 7,845円(上限額) |
離職時の年齢が45~59歳 | ||
2,869円以上 5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上 12,790円以下 | 50%~80% | 4,160円~6,395円 |
12,790円超 17,270円以下 | 50% | 6,395円~8,635円 |
17,270円(上限額)超 | - | 8,635円(上限額) |
離職時の年齢が60~64歳 | ||
2,869円以上 5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上 11,490円以下 | 45%~80% | 4,160円~5,170円 |
11,490円超 16,490円以下 | 45% | 5,170円~7,420円 |
16,490円(上限額)超 | - | 7,420円(上限額) |
参考:厚生労働省(2025年8月時点の情報)

具体的な生活の見通しを立てるためにも、一度ご自身の給与明細を見ながら計算してみてはいかがでしょうか。
失業保険の受給金額を確認する際の注意事項は以下の通りです。
失業保険の受給金額を確認する際の注意点
- 計算はあくまで目安にしかならない
- 賞与は計算に含まれない
正確な受給額については、ハローワークから発行される「雇用保険受給資格者証」で必ず確認しましょう。
失業保険の給付日数(90日~330日)について解説
失業保険がもらえる期間(給付日数)は、あなたの年齢と雇用保険に加入していた期間(勤続年数)によって決まります。
自己都合退職の人は給付日数が一律90日~150日ですが、会社都合退職の人(特定受給資格者)は、最短でも90日、最長で330日間受け取ることが可能です。
被保険者であった期間 | 30歳未満 | 30歳以上35歳未満 | 35歳以上45歳未満 | 45歳以上60歳未満 | 60歳以上65歳未満 |
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
20年以上 | - | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
このように、長く会社に貢献してきた人ほど、手厚いサポートが受けられる仕組みになっています。焦らずにじっくりと次の仕事を探すための、大切な期間として活用できますね。
通常は会社で正社員として働いていれば雇用保険に自動で加入していますが、問題のある会社だと雇用保険に社員を入れていないことがあります。
本来、雇用保険に入ることは会社の義務なので、会社に請求すれば過去の分まで遡って雇用保険を請求できます。不明点や不安なことも多いと思うので、会社に問題がある場合は、ハローワークの職員や法律の専門家に相談しましょう。
失業保険を会社都合退職として受給できるケース
失業保険が会社都合として認められ、「特定受給資格者」となるケースについて紹介します。大きく分けて、会社から解雇を言い渡される場合と、会社に問題があり自分の意思で退職した場合に会社都合退職となります。
まずは、会社から解雇された場合に、会社都合退職と認められるケースを紹介します。
会社都合退職と認められる解雇された際のケース
- 整理解雇(リストラ):会社の倒産や事業縮小によって会社が人を雇えなくなり解雇される
- 退職勧奨:会社から退職を勧められて退職する
参考:ハローワーク
会社からの解雇には他にも、「普通解雇」と「懲戒解雇」がありますが、どちらとも就業者に規則違反・法令違反などの問題があった場合にされるものなので、失業保険を受け取る際にはこの2つは自己都合退職として扱われるのが基本です。
一方で、退職勧奨の場合だと退職するかの判断は就労者自身がおこないますが、失業保険を申請する際には会社都合退職として扱われます。
自分の意思で退職した場合でも、以下のような問題が会社にあって退職した場合は会社都合退職として認定されます。
会社都合退職と認められる自分で退職した場合のケース
- 本人の同意なく給与が大幅に減額された(以前支払われていた賃金の85%未満になった場合)
- 給与の未払い(本来の給与の3分の1以上が給料日までに支払われなかった場合)
- 事業所の移転により通勤が困難になった場合
- 長時間労働(詳細は後述)
- 法令に違反して育児・介護の支援制度(産休・育休など)が不当に制限された場合
- 事業主が労働者の職種転換に際して、職業生活の継続のために必要な配慮をおこなっていない
- ハラスメント(上司や同僚からのいじめ、嫌がらせなど)
- 会社が法令違反をしていた
参考:ハローワーク
会社都合退職として認められる長時間労働の規準について
いずれか連続する3か月で45時間の時間外労働
いずれか1か月で100時間の時間外労働
いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働の平均が1か月で80時間を超える場合
また、行政からの指導があったにも関わらず、従業員の健康に労働時間が配慮されていない場合も対象となります。
一般的に「会社都合」と聞くと、会社の倒産や経営不振による解雇(リストラ)をイメージする方が多いですが、実はそれ以外にも様々なケースが含まれます。
退職を決めたのが自分自身だと、自己都合退職として扱われると思われがちですが、会社に問題があって働くことが困難で退職した場合は会社都合退職となります。
失業保険を会社都合で申請する手続きと受け取りまでの6ステップ
失業保険の申請は、手順通りに進めれば決して難しいものではありません。ここでは、申請から受け取りまでの流れを6つのステップに分けて、分かりやすく解説します。
会社都合と自己都合で失業保険の申請方法はあまり変わりませんが、会社都合の退職であることを証明するために必要な書類を取り寄せることもあります。
失業保険を会社都合で申請する方法
会社から離職票を受け取る
退職後、会社から「雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2)」が郵送されます。これは失業保険の手続きに必須の書類です。
この時、離職票に記載されている退職理由が「会社都合」になっているかを必ず確認しましょう。

会社都合退職なら特定受給資格者となり、自己都合の場合より手当が手厚いので、会社への連絡やハローワーク・法律事務所などへの相談をおこなって会社都合で受給できるように離職票を手に入れましょう。
ハローワークで手続きをおこなう
離職票が届いたら、ご自身の住所を管轄するハローワークで手続きを行います。もし離職票の退職理由に納得がいかない場合は、この手続きの際にハローワークの担当者に相談することができます。
手続きには以下の持ち物が必要です。
手続きに必要なもの
- 離職票(-1、-2)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
- 身元確認書類(運転免許証など)
- 証明写真2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
ハローワークに着いたら窓口に行き、「失業保険の申請に来ました」と伝えれば、案内がされます。その後の手続きや動きはハローワーク職員の指示にしたがいましょう。
7日間の待機期間と雇用保険説明会
失業保険の手続きが完了した日から7日間が待機期間です。この期間が終了すれば、会社都合退職の場合は自己都合のような給付制限期間なしに、支給対象期間が始まります。
待機期間満了後、指定された「雇用保険説明会」に参加し、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ります。

失業保険の仕組みを理解していたり、調べれば十分だと思っていたりする人も、参加を怠らないようにしましょう。
初回の失業認定日にハローワークへ行く
雇用保険説明会にて「失業認定日」が指定されるので、その指定された日に再びハローワークに向かいます。
失業認定日は、失業保険を受給する必要があるか判断するために、まだ失業状態であることを確認する日です。失業認定日は基本的に変えることはできず、4週間に1度のペースで認定日が設定されています。
ただし、以下のようなどうにもならない事情があれば、ハローワークに連絡して失業認定日を変えてもらうこともできます。
やむを得ない理由の例
- 就職活動(採用面接、採用試験など)
- 本人の病気、けが(期間が15日未満の場合)
- 就職に必要な国家試験、検定等の資格試験の受験
- 本人の親族の看護や冠婚葬祭
失業認定日には「失業認定申告書」に求職活動実績を記入して提出します。求職活動実績とは、ただ失業保険を受けているのではなく今後働く意思もあると証明する、就職に関する活動のことです。
主に以下のものが、求職活動実績として認められています。
求職活動実績として認められる活動の例
- 求人への応募(面接や応募書類の送付)
- ハローワークが⾏う、職業相談、職業紹介、各種講習・セミナーの受講
- 許可・届出のある⺠間事業者が⾏う、職業相談、職業紹介、求職活動に関するセミナー等の受講
- 公的機関等が⾏う、各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講
- 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験
出典:ハローワーク
会社都合退職の場合、最初の認定日までに1回以上の求職活動実績が必要です。
2回目以降の失業認定日では、認定日当日までに2回以上の求職活動実績を作る必要があります。

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指定口座へ失業保険が振り込まれる
失業認定日に失業が認定されると、通常はハローワークの5営業日ほどで、指定した金融機関の口座に失業保険が振り込まれます。
求職活動実績が足りないなど、何か問題があった際は失業保険は振り込まれません。振り込まれなかった分の失業保険は無くなるわけではなく、1ヵ月ずつ後ろ倒しになって支給されます。
一時的にはお金が受け取れませんが、最終的に受け取れる失業手当の総額は変わらないです。
受給期間満了まで求職活動と認定を繰り返す
給付が始まった後も、受給期間が満了するまで、原則として4週間に1度の失業認定日にハローワークへ行き、求職活動の実績を申告し続ける必要があります。これを繰り返すことで、継続して失業保険を受け取ることができます。
初回の失業認定日では、雇用保険説明会以外に1度の求職活動実績を作れば大丈夫ですが、2回目以降の認定日では2つ以上の求職活動実績を作る必要があります。

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求職活動実績の制度や仕組み、効率的な作り方について、以下の記事で詳しく解説しています。気になる人は読んでみてください。
会社都合退職と自己都合退職の失業保険に関する違い
1ヵ月あたりに貰える金額は基本的に変わりませんが、会社都合退職のほうが自己都合退職よりも支援が手厚いです。
ハローワークでは、倒産や解雇などにより再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた人を「特定受給資格者」と呼び、より手厚い給付をおこなっているからです。
ここでは、自己都合退職と比べて具体的に何が有利なのか、3つの大きな違いに絞って解説します。
失業保険における会社都合退職と自己都合退職での違い
失業保険がもらえるまでの期間
最も大きな違いは、失業保険がもらえるまでのスピードです。
会社都合退職で失業保険を受け取るほうが、申請してからすぐに失業保険を受給できます。具体的な期間の違いは以下の通りです。
給付開始までの期間
- 会社都合退職(特定受給資格者): 7日間の待機期間後、すぐに支給開始。
- 自己都合退職: 7日間の待機期間に加え、原則2ヶ月間の給付制限がある。
つまり、自己都合の場合は手元にお金が入るまで約2ヶ月半かかりますが、会社都合の場合は申請してから7日で済みます。
いきなり仕事が無くなってしまった人でも、会社都合の場合はすぐに給付を受け取って生活することができますよ。
失業保険がもらえる最大日数
次に違うのが、失業保険の給付を受けられる期間の長さです。
失業保険の最大給付日数
- 会社都合退職(特定受給資格者): 年齢や被保険者期間に応じて90日~330日。
- 自己都合退職: 被保険者期間に応じて90日~150日。
給付期間の詳細については、前述の「失業保険の給付日数(90日~330日)について解説」にて解説しています。
会社都合の場合、自己都合の倍以上の期間、給付を受けられる可能性があります。これにより生活の心配をせずに、じっくりと腰を据えた転職活動が可能になります。
失業保険の受給条件となる雇用保険の加入期間
失業保険をもらうためには一定期間、雇用保険に加入している必要がありますが、この条件も異なります。
雇用保険の加入期間
- 会社都合退職(特定受給資格者): 離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上あること。
- 自己都合退職: 離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上あること。
会社都合退職の場合は、受給資格を得るためのハードルが低く設定されています。例えば、転職して1年未満でリストラに遭ってしまった、というようなケースでも対象となる可能性があるのです。
「まだ入社して1年ぐらいしか経っていなくて失業保険が受け取れないかも」と不安な人でも、会社都合退職の場合は失業保険を受け取れるのでハローワークに相談してみましょう。
会社都合退職で失業保険を受け取るメリットと唯一のデメリット
失業保険の面で多くのメリットがある会社都合退職ですが、「転職活動で不利になるのでは?」というデメリットを心配される人も少なくありません。ここでは、メリットを再確認し、唯一の懸念点であるデメリットへの対策についてもお伝えします。
メリットは「早く」「長く」失業保険がもらえること
最大のメリットは「早く」「長く」失業保険がもらえることです。
突然の退職は、精神的にも経済的にも大きなダメージを受けます。そのダメージを最小限に抑え、生活を安定させながら次のステップに進むためのセーフティーネットとして、この制度は非常に大きな力になってくれます。
この金銭的、時間的な余裕が、結果的に納得のいく転職活動に繋がるのです。長期間に渡って失業保険を受給できるので、1回で貰える金額は変わらなくても、最終的に受給できる失業保険の総額は自己都合の場合より高くなりやすいです。
デメリットは転職活動の不利
転職活動では、退職理由が「別のことにチャレンジしたい」「もっと上を目指したい」など前向きなほうが好印象ですが、会社都合退職は前向きな退職理由ではないので、転職活動では不利になりやすいです。
しかし、会社都合退職していても伝え方しだいで、人事からの評価を落とさずに退職理由を伝えられます。特に、会社の業績不振や事業縮小などどうしようもない客観的事実をしっかりと伝えるようにしましょう。
会社都合退職についての面接での伝え方の例
このように、事実を簡潔に伝え、前向きな姿勢を示すことで、むしろ「環境の変化に柔軟に対応できる人材」としてポジティブな印象を与えることさえ可能です。

転職エージェントは転職支援のプロであり、求職者に合った求人紹介と、応募先に応じた選考対策をおこなってくれます。会社都合退職の伝え方についても、アドバイスしてくれますよ。
まずはどんな転職にも対応していて、転職支援実績も豊富な大手転職エージェントであるリクルートエージェント・マイナビエージェントを利用してみましょう。
会社都合退職のはずが自己都合退職として扱われていた際の対処法
会社を辞めると、会社から「離職票-2」という書類が発行されます。この書類には退職理由を記載する欄があり、会社側と本人がそれぞれ記入します。
もし、ご自身の認識では会社都合であるにもかかわらず、会社側の記載が「自己都合」になっていた場合は、安易に署名してはいけません。
離職票の「離職者本人の判断」という欄で「事業主が主張する離職理由に異議有り」に丸をつけ、自分の認識する具体的な退職理由を記載しましょう。書き方の例は以下の通りです。
参考:ハローワーク(離職票)
上記の欄が「離職票-2」の右下にあるので、記入例を参考に異議を記入しましょう。「具体的事情記載欄」では、なぜ会社都合退職として扱えるのかを記入して、会社都合退職として申請する旨を記載しましょう。
ハローワークに会社都合と認めてもらうための証拠集め
最終的に退職理由が「会社都合」か「自己都合」かを判断するのは、会社ではなくハローワークです。離職票で異議を申し立てた場合、ハローワークは客観的な事実に基づいて判断します。
そのため、会社都合であることを証明するための客観的な証拠が非常に重要になります。例えば、以下のようなものが証拠となり得ます。
証拠となるものの例
- 退職勧奨の場合: 退職勧奨の面談を録音したデータ、退職条件が書かれた書面など
- 長時間労働の場合: タイムカードのコピー、PCのログ、業務日報など
- ハラスメントの場合: ハラスメントの内容を記録した日記やメモ、医師の診断書など
また、ハローワークは労働関係の法令などに詳しいですが、最終的に判断するのが人間である以上、確認に漏れがあったり認識のずれがあったりする恐れもあります。
そのため、実際にハローワークに記載されている条件や法令をハローワークに明示したり、弁護士など法律の専門家からも説明してもらったりすることで、より自分の主張の正当性を証明しやすくなりますよ。
失業保険を会社都合で受け取る際の注意点・よくあるトラブル
制度を正しく利用し、スムーズに手当を受け取るためには、いくつか知っておくべき注意点があります。ここでは、よくあるトラブルとその対処法について解説します。事前に知っておくことで、万が一の時も冷静に対応できるはずです。
失業保険を会社都合で受け取る際の注意点
会社から離職票がもらえない・届くのが遅い
退職後、会社は原則として10日以内に離職票を発行する義務がありますが、残念ながら手続きが遅れたり発行を渋ったりするケースも稀にあります。
離職票がなければ失業保険の手続きは始められません。まずは会社の担当部署に丁寧に催促しましょう。それでも対応してもらえない場合は、すぐにハローワークに相談してください。ハローワークから会社へ指導・勧告を行ってくれるほか、仮の手続きを進めてくれる場合もあります。
失業認定日にハローワークへ行けない場合
失業認定日は、原則として本人が指定された日時にハローワークへ行く必要があります。しかし、病気や面接日と重なるなど、やむを得ない理由で行けない場合もあるでしょう。
その場合は、必ず事前にハローワークに連絡を入れてください。理由が正当であると認められれば、認定日を変更してもらえることがあります。
やむを得ない理由の例
- 就職活動(採用面接、採用試験など)
- 本人の病気、けが(期間が15日未満の場合)
- 就職に必要な国家試験、検定等の資格試験の受験
- 本人の親族の看護や冠婚葬祭
無断で欠席すると、その期間の失業保険が受け取れなくなってしまうので注意が必要です。仮に、求職活動実績が足りていないとしても、今後の失業保険の継続のためにはハローワークに向かう必要があります。
求職活動実績が失業認定日当日に足りない際の対処法について、以下の記事で詳しく解説しています。気になる人は読んでみてください。
受給中のアルバイトは事前に申告しないと不正受給になる
失業保険の受給中に、生活費の足しにするためアルバイトを考える人もいるでしょう。受給中にアルバイトをすること自体は可能ですが、必ず事前にハローワークに申告する必要があります。
申告を怠ったり、収入を偽って報告したりすると「不正受給」とみなされ、厳しいペナルティが課せられます。支給停止はもちろん、受け取った金額の3倍の額(三倍返し)の納付を命じられることもあります。「これくらいならバレないだろう」という安易な考えは絶対に禁物です。
雇用形態によって失業保険に違いはあるのか
「正社員じゃないと、失業保険はもらえないのでは?」と心配される人もいますが、そんなことはありません。雇用形態に関わらず、一定の条件を満たしていれば誰でも失業保険を受け取ることができます。
また、正社員でなくても、場合によっては会社都合退職として失業保険を受け取ることも可能です。会社都合退職のほうが失業保険の支援が手厚いので、条件に該当する人は会社都合として失業保険を申請しましょう。
契約社員・派遣社員でも会社都合退職になるケースがある
契約社員や派遣社員の場合、契約期間の満了(雇い止め)によって離職するケースが多いですよね。具体的には以下の状況の場合、有期契約労働者であっても特定受給資格者(会社都合退職者)として扱われます。
派遣・契約社員が特定受給資格者として認められる場合
- 労働契約の更新により、3年以上引き続き雇用されると決まっていたが、会社都合で更新が無くなった場合
- 労働契約が更新されることが明示された場合において、会社都合で更新が無くなった場合
労働者も更新を希望していて、一度契約の更新が確定していたのに、それが会社都合で無くなって退職する場合は会社都合退職として失業保険を受給できます。
また、本人は更新を希望していたにもかかわらず、会社側の都合で契約が更新されなかった場合(更新を確約はしていないが、更新が示唆されていた場合)は「特定理由離職者」と判断されます。
特定理由離職者も特定受給資格者(会社都合退職者)とほぼ同様の手厚い給付を受けることができます。待機期間後の給付制限もありません。
パート・アルバイトでも条件を満たせば受給できる
パートやアルバイトの方でも、以下の2つの条件を満たして雇用保険に加入していれば、正社員と同様に失業保険を受け取ることができます。
パート・アルバイトの受給条件
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 学生ではないこと
参考:厚生労働省
上記を満たす人は、会社側に雇用保険に加入させる義務があるので、自動的に雇用保険に入っています。そのため、失業時には失業保険を受け取ることもできます。
この条件を満たしたうえで、退職理由が会社都合であれば、特定受給資格者として扱われます。会社都合退職となる条件については、本記事内の「失業保険を会社都合退職として受給できるケース」をご確認ください。
正社員との違いは「賃金日額」の計算
雇用形態による給付内容の唯一の違いは、支給額の算定基礎となる「賃金日額」です。失業保険の支給額は、退職前の給与に基づいて計算されます。
そのため、パートやアルバイトで月収が低かった場合、正社員と比べて支給額は少なくなります。しかし、計算方法や給付率といった制度のルール自体は、雇用形態によって変わることはありません。
給与額の計算については、本記事内の「失業保険でもらえる金額について解説」をご確認ください。
失業保険を会社都合退職で申請する際によくある質問
ここでは、会社都合退職の失業保険に関して、多くの方が抱く細かい疑問についてQ&A形式でお答えします。
失業保険は月給の何割くらいもらえますか?
失業保険で受け取れる1日あたりの金額は、退職前の給与のおよそ50%~80%が目安です。給与が低い人ほど給付率が高くなるように設定されています。また、年齢によっても変動があるうえに上限額も定められているため、正確な金額はハローワークで確認が必要です。
失業保険は何ヶ月もらえますか?
会社都合退職の場合、失業保険がもらえる期間は年齢と雇用保険の加入期間によって決まり、90日から最大で330日です。例えば40代で勤続10年以上20年未満だった場合は、270日間(約9ヶ月)受給できます。自己都合退職に比べて、かなり長く設定されています。
会社都合退職だと、次の転職でどうなる?不利になりますか?
多少は不利に見られてしまうことが実情ですが、採用担当者は会社の倒産や事業縮小といった、個人の力ではどうにもならない事情があることを理解しているので致命的な不利にはなりません。
面接では、退職理由を正直に伝え、今後のキャリアに対する前向きな意欲を示すことができれば、全く問題ありません。もし、転職に不安があって少しでも内定獲得率を上げたいなら、選考対策が充実しているリクルートエージェントなどの転職エージェントの利用がおすすめですよ。
失業保険の受給中にアルバイトはできますか?
はい、可能です。ただし、週の労働時間が20時間未満であることなど、一定の条件があります。また、アルバイトをした日や収入は、必ず失業認定申告書で正直に申告する必要があります。申告を怠ると不正受給とみなされるため、必ず事前にハローワークに相談し、ルールを守るようにしてください。
ハローワークには何を持って行けばいいですか?
初めて手続きに行く際は下記が必要です。
- 離職票(-1、-2)
- マイナンバーが確認できる書類
- 運転免許証などの身元確認書類
- 証明写真2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
忘れ物がないように、事前にしっかりと準備してから向かいましょう。
離職票がもらえない場合はどうすればいいですか?
退職から2週間以上経っても離職票が届かない場合は、まず会社に発行を催促してください。それでも発行してもらえない、あるいは会社と連絡が取れないといった場合は、すぐにハローワークに相談しましょう。ハローワークから会社に督促してくれるなど、対応してもらえます。