失業手当を受け取るためには、求職活動実績を一定回数、きちんと積み上げる必要があります。
なかには「1日で2回分の実績を作れるのか?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

ただし、どんな活動でも良いわけではなく、厚生労働省が定めるルールに沿った行動であることが求められます。
本記事では、求職活動実績の基本ルールから、1日2回分の実績を正しく積む方法、やってはいけないNG行動、不正が発覚した場合のリスクまでわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 求職活動実績が1日2回カウントされる条件と具体例
- 厚生労働省が定める「実績」として認められる活動内容
- 同じ内容を繰り返した場合やNG行動の具体例
- 不正申告が発覚した際のリスクとペナルティ
求職活動実績は、失業手当(失業保険の基本手当)が支給されるために必要
求職活動実績とは、失業手当を受け取るために必要な「就職活動の記録」です。
失業手当をもらうには、ただ失業しているだけでは不十分で、「きちんと就職活動をしている」と証明する必要があります。
まずは基本的なルールから確認していきましょう。
求職活動実績について
求職活動実績に必要な回数とタイミング
求職活動実績には、必要な回数と対象期間の2つが制度で決められています。
どちらも認定日の時点で満たしているのが条件となり、失業手当の受給には欠かせません。
以下に、初回認定日と2回目以降で求められる実績内容の違いをまとめました。
初回認定日の場合
- 実績:1回以上
- 期間:離職票を出してから初回認定日まで(約4週間)
2回目以降の認定日の場
- 実績:2回以上
- 期間:前回の認定日から今回の認定日まで(約4週間)

認定日当日に慌てて活動しても、期間を過ぎていればカウントされないので注意が必要です。
「実績」になる求職活動一覧
失業保険を受給するためには、ハローワークや転職エージェントなどでおこなった活動が「求職活動実績」として認められる必要があります。
厚生労働省が認める主な活動内容は、以下のとおりです。
ハローワークでの活動
- 職業相談(求職申込み、職業相談、職業紹介、各種セミナー受講)
- 職業紹介の申込み
- ハローワーク主催の就職セミナー参加
企業への応募・面接
- 求人への応募(書類選考)
- 面接を受ける
- 企業説明会への参加
民間の職業紹介事業者を利用した活動
- 転職エージェントでの職業相談
- 転職エージェント主催のセミナー参加
- 派遣会社での登録面談
資格取得・教育訓練
- 公共職業安定所長の指示による職業訓練
- 再就職に関係する各種国家試験の受験
出典:厚生労働省
リクルートエージェントなら、オンラインセミナーの開催頻度が多く、実績作りと転職活動を一緒に進められるのでおすすめです。
求職活動実績を1日で2回カウントする方法
「認定日まで時間がない」「実績が足りない」場合でも、1日で2回分の実績を作れます。
ここでは、厚生労働省のルールに基づいて、正しく実績を積み重ねる方法を紹介します。

ただし、ハローワークによって解釈が異なるため、事前に担当窓口で確認しておくと安心です。
求職活動実績を1日で2回カウントする方法
【早見表】求職活動実績が2回分になる行動・ならない行動
以下の表で、1日2回カウントされる可能性のある組み合わせを確認してみましょう。
活動の組み合わせ | 2回カウント | 備考 |
---|---|---|
職業相談 + 求人応募 | 最も確実な方法 | |
オンラインセミナー + 職業相談 | 内容が違えば可能性あり | |
セミナー2つ受講 | 主催者・内容が違えばOK | |
求人応募2件 | 企業が違えば可能 | |
同じ企業に2回応募 | 重複扱いになる | |
求人閲覧 | 求人閲覧は実績にならない | |
同じ相談内容を2回 | 重複とみなされる |
注意
不安な場合は、事前にハローワークに問い合わせるのがおすすめです。
厚労省は実績を「就職に直結する行動」と定義
厚生労働省の「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」によると、求職活動実績を次のように定義しています。
「求職の申込み後、失業の認定を受けようとする期間中に、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者等で職業相談、職業紹介を受けた、または求人への応募を行った等の活動」
出典:厚生労働省

単に情報を見るだけや登録するだけでは実績として扱われないので注意が必要です。
同じ日でも活動内容や主催者が違えば2回カウントされる
同じ日に求職活動実績を「2回分」カウントしてもらうためには、活動内容や相手・主催者・テーマを変える必要があります。
1日2回の実績が認められるための条件を、活動内容別にまとめてみました。
職業相談系の活動
活動内容 | 2回カウントの条件 | 注意点 |
---|---|---|
ハローワーク職業相談 | 相談内容がはっきり違う | 同じ職員に同じ相談はNG |
転職エージェント相談 | 違う事業者または 違う内容 |
同じ事業者でも 内容次第 |
派遣会社面談 | 違う派遣会社 | 同じ会社での複数面談は ハローワークに要確認 |
応募・面接系の活動
活動内容 | 2回カウントの条件 | 注意点 |
---|---|---|
求人応募 | 違う企業・職種 | 書類を送った証拠を保管しておく |
面接を受ける | 違う企業 | 面接日程の証明書類が必要 |
企業説明会 | 違う企業主催 | 参加証明書を保管しておく |
セミナー・教育系の活動
活動内容 | 2回カウントの条件 | 注意点 |
---|---|---|
オンラインセミナー | 違う主催者または内容 | 受講証明書を保管しておく |
就職支援セミナー | 違うテーマ・主催者 | ハローワーク主催を優先 |
資格試験受験 | 違う資格 | 就職に関係する資格のみ |

あとから確認を求められる場合もあるため、活動記録や証拠となるメール・証明書は日付ごとにまとめて管理しておくのがおすすめです。
「セミナー+職業相談」がOKになる・ならない条件
最も実現しやすい組み合わせが「セミナー受講+職業相談」です。
異なるテーマや主催者で活動をおこなえば、同日に複数回の実績とみなされやすいためです。
OKになる可能性が高い条件
- セミナー内容と職業相談の内容がはっきり違う
- 違う機関が主催するセミナーと職業相談
- セミナーで学んだ内容を踏まえた具体的な相談
NGになりやすい条件
- 同じテーマのセミナーと相談
- セミナーの感想を聞くだけの相談
- 形式的な相談で具体性がない

実績として認められるには、「別テーマ」と「就職に直結」の2点が大切です。
計画的に活動を組み合わせれば、1日で効率よく実績を積めますよ。
求職活動実績を1日2回にカウントできないNG行動
求職活動実績は、内容が明確に異なる2つの行動でなければ、1日で2回分として認められない場合があります。
ここでは、1日2回にカウントできないNG例を具体的に紹介します。
「登録だけ」「求人閲覧だけ」では求職活動実績にカウントされない
転職サイトに登録するだけ、求人情報を眺めるだけでは求職活動実績になりません。
厚生労働省は、求職活動実績を「就職に直結する行動」と定めており、準備段階にとどまる行為は、就職活動とみなされないためです。
NG例
- 転職サイトへの会員登録
- 求人情報の検索・閲覧
- 転職エージェントへの登録のみ
- 企業のホームページを見るだけ
実績にするためには
- 登録後に職業相談を受ける
- 求人を見た後で実際に応募する
- 企業説明会に参加する
- 面接を申し込む

応募や相談などの具体的なアクションが重要と覚えておきましょう。
同じ内容の繰り返しでは複数カウントされない
求職活動実績は「幅広く就職に向けた行動を取っているか」を確認します。
同じ内容を何度も繰り返した場合は「実質的に同じ活動」とみなされ、1回分しか認められません。
NG例
- 同じ企業に何度も応募する
- 同じ内容で何度も職業相談する
- 同じセミナーを複数回受講する
- 同じ派遣会社で何度も面談する
実績にするためには
- 違う企業に応募する
- 求人を見た後で実際に応募する
- 違う内容のセミナーを受講する
- 違う派遣会社で面談する

リクルートエージェントやdodaなど大手のオンラインセミナーでは、履歴書対策や業界別講座などテーマが豊富に用意されているため、内容を変えて複数回の実績につなげやすいので登録しておくといいでしょう。
認定対象外のセミナーでは実績としてカウントされない
オンラインセミナーは便利ですが、実績にカウントされるのは「就職に直結する内容」や「許可を受けた事業者主催」のものに限られます。
厚生労働省のルールで、求職活動実績と認められるのは「職業相談や求人紹介、応募につながる行動」と定義されているためです。
認定されやすいセミナーの特徴
- 転職・就職活動に直結する内容
- 許可を受けた職業紹介事業者が主催
- 修了証明書が発行される
認定されないセミナーの特徴
- 一般的すぎる内容(ビジネスマナー講座など)
- 就職活動と関係が薄い内容
- 主催者が民間企業で、職業紹介事業の許可がない

厚労省の許可を受けた職業紹介事業者が主催しているか、テーマが応募や面接など就職に直結しているか、受講後に修了証や参加確認メールが発行されるかが重要なポイントです。
求職活動実績を不正に2回申告した場合のリスク
求職活動実績を不正に2回申告すると、給付の停止や返還など大きなリスクを招きます。
ここでは、実際にどのようにチェックされ、どんなペナルティがあるのかを具体的に解説します。
不正をした場合のリスク
求職活動実績の申告内容は必要に応じて確認される
求職活動実績は、原則として自己申告を信頼して処理されていますが、不自然な点がある場合や不正が疑われる場合には、ハローワークが事実確認をおこなう場合があります。
実際に、ハローワーク公式サイトでも以下のように明記されています。
求職活動の実績については、利用した機関等への問い合わせ等により、ハローワークが事実確認を行うことがあります。
出典:ハローワーク
確認方法の例
- 企業への問い合わせ(応募の有無、面接実施の確認)
- 転職エージェントへの照会
- セミナー主催者への参加確認
- 職業相談の記録との照合
特に以下のような場合は、確認が入りやすいとされています。
- 同じような活動内容を繰り返している
- 実績の内容が不自然
- 他の受給者からの通報があった場合
- 企業や主催者からの連絡があった場合

不自然な実績は見抜かれるので、正しい活動で誠実に積み上げることが大切です。
虚偽の申告が発覚すると給付停止のリスクがある
求職活動実績を偽って申告すると、失業給付が止まるなど大きなペナルティを受ける可能性があります。
軽微な場合
- 対象期間の給付停止
- 理由書の提出要求
- 今後の認定での厳格なチェック
悪質と判断された場合
- 給付の全面停止
- 支給済み手当の返還要求
- 3倍返しの制裁金
- 刑事罰の可能性(詐欺罪)
実際にあったケース
- セミナーに参加していないのに参加したと申告 → 主催者への確認で発覚
- 応募していない企業に応募したと申告 → 企業からの問い合わせで発覚
- 架空の職業相談を申告 → 相談記録が存在せず発覚

一度発覚すれば給付停止や返還請求につながり、今後の認定も厳しくチェックされるため、取り返しがつきません。
安心して受給を続けるためには、正しく行った活動だけを誠実に申告しましょう。
今すぐ2回分の実績が欲しい人へ【認定日前日・当日の対処法】
「明日が認定日なのに実績が足りない!」
認定日直前に実績が不足している場合でも、対応できる方法があります。
ここでは、短時間で効率的に実績を積むための具体的な手順を解説します。
認定日前日・当日の対処法
職業相談+求人応募が最短ルート
最も確実かつ短時間で2回分の求職活動実績を作る方法は、午前に職業相談、午後に求人応募を組み合わせることです。
ハローワークは「異なる内容の活動」であれば別々の実績として認めるため、相談と応募を同日に行えば効率的に2回分を積み上げられます。
以下のように午前と午後で行動を分ければ、スムーズに実績を確保できます。
ハローワークでの過ごし方
- ハローワークに行く(開庁時間:平日8:30~17:15)
- 受付で職業相談の申し込み
- 具体的な職種や条件について相談(15~30分程度)
- 相談内容を記録しておく
求人応募の流れ
- ハローワークの求人または転職サイトから求人を選ぶ
- 履歴書・職務経歴書を送付
- 応募の証拠(メール送信履歴、郵送控えなど)を保管
時間短縮のコツ
- 履歴書・職務経歴書は事前に準備しておく
- 応募したい求人をいくつかピックアップしておく
- ハローワークの混雑する時間帯(11〜12時、14〜15時)を避ける

「異なる内容の行動をセットにする」という意識を持つだけで、効率的に実績を積めますよ。
リクルートエージェントのオンラインセミナーを活用する
リクルートエージェントのオンラインセミナーは、自宅にいながら求職活動実績を作れるのでおすすめです。
リクルートエージェントのメリット
- ほぼ毎日開催されているので選択肢が豊富
- 転職活動に直結する内容で実績として認められやすい
- 受講証明書が自動発行されていつでも確認できる
- セミナー後の個別相談も実績になる

注意
- セミナーの開始時間に遅れないよう余裕を持って参加する
- 受講証明書は必ず保存しておく
- セミナー内容をメモして、後の相談で活用する
求職活動実績に関するよくある質問
ここでは、求職活動実績に関するよくある質問に回答します。
求職活動実績って本当に1日2回カウントされる?
活動内容が明確に異なり、それぞれが実質的な求職活動であれば2回カウントされる可能性が高いです。
最終的な判断はハローワークがおこなうので、心配であれば事前に問い合わせましょう。
職業相談だけでOKなの?
職業相談だけでも実績として認められます。
ただし、毎回同じような相談内容だと「実質的な活動」と見なされない場合があります。
セミナーを2つ受けたら2回分になる?
主催者や内容が異なれば2回分になる可能性が高いです。
同じ主催者の似たような内容のセミナーだと、重複と判断されて、求職活動実績に認められない可能性が高いです。
求職活動実績が足りなかったらどうなる?
実績不足の場合、不認定(対象期間の給付なし)になります。
失業保険(失業手当)受給の権利が喪失するわけではありませんが、不認定の期間は給付金を受け取れません。
嘘を書いたらどうなる?バレる?
嘘の申告は高い確率でバレるのでやめましょう。
ハローワークは企業や転職エージェントに確認を取る場合があり、嘘が発覚した場合は以下のリスクがあります。
- 給付の停止
- 支給済み手当の返還(3倍返しの場合もあり)
- 刑事罰(詐欺罪)
求職活動実績を1日2回カウントするルールを理解して安心して実績を積もう
求職活動実績を1日2回カウントするには、同じ日に「内容の異なる活動」をおこなうのが重要です。
ハローワークは実績が就職に直結しているかどうかを基準に判断しているため、登録や求人の閲覧だけではカウントされません。
正しいルールを理解して取り組めば、不安なく認定を受けられ、安定して給付につながる実績作りができます。
ポイント
- 職業相談+求人応募など、異なる内容であれば2回カウントされる
- 同一内容の繰り返しや「登録だけ」は実績として認められない
- 虚偽の申告は確認が入りやすく、不正受給になるリスクも高い
- リクルートエージェントのセミナーは実績になりやすく活用しやすい

ルールを守り、次の認定日に向けて確実に実績を積み重ねていきましょう。