失業手当(失業保険)は、離職後の生活を支える大切な制度です。しかし、受給を続けるには、ハローワークが定める「求職活動」の実績が必要になります。
「何をもって活動と認めてもらえるのか」「転職エージェントの利用はOKなのか」など、不安に感じている人も多いでしょう。
この記事では、失業手当の受給に必要な求職活動の定義と回数を解説します。
活動として認められない例から受給までの流れも説明します。この記事を読んで不安なく失業手当を受給しましょう。
失業手当(失業保険)の受給に必須!求職活動の定義と条件
失業手当を受け取るには、単に「仕事を探している」という状態だけでなく、積極的に就職しようとする具体的な活動が求められます。
ハローワークでは、この活動を「求職活動実績」としてチェックします。まずは、この実績として認められるための基本的な定義と条件を理解しましょう。
受給資格を得るために必要な「活動回数」
失業手当を受け取るには、原則として認定期間中に2回以上の求職活動実績が必要です。この「認定期間」は、4週間に一度の認定日の間を指します。
会社都合で失業した場合は1回以上、自己都合で失業した場合が2回以上の求職活動実績が必要です。
もし活動実績が不足していると、その期間の失業手当は支給されません。また、認定日当日の求職活動は次回の認定期間の実績としてカウントされてしまいます。
そのため、認定日の数日前までには求職活動実績を2回以上作れるよう計画的に求職活動をおこないましょう。
以下の記事では初回認定に必要な求職活動の回数や失業認定当日の求職活動について詳しく説明しています。気になる人は参考にしてみてくださいね。
ハローワークが「求職活動」として認める具体的な活動例
求職活動はハローワークでおこなうものと思われがちですが、実際には幅広い活動が認められます。以下に、厚生労働省作成の資料を参考に実績として認められる主な活動例を紹介します。
主な活動例
- 求人への応募
- ハローワークでの職業相談、職業紹介、職業講習会
- 転職エージェントや転職サイトが実施する求職申込、職業相談、オンラインセミナー
- 公的機関などが実施する職業相談、職業講習
- 再就職に資する各種国家試験、検定などの資格試験の受験
特に転職エージェントとの面談やオンラインセミナーは、ハローワークに行く時間がない人にとって効率良く実績を作れる方法の一つです。
また、オンラインセミナーを2回、職業相談を2回など同じ活動でも求職活動実績として認められます。
キャリアアドバイザーとの面談だけでなくオンラインセミナーも開催しているため、転職活動を進めながら効率的に求職活動実績を作ることができますよ。
以下の記事ではそれぞれの求職活動について詳しく解説しているため、気になる人はぜひご覧ください。
活動として認められない「NG行動」の具体例
求職活動実績として認められるのは、「積極的に就職しようとする具体的な行動」です。そのため、求人の閲覧などは求職活動として認められません。
無駄な活動に時間を費やさないよう、ハローワークが求職活動実績として認めない行動を知っておきましょう。
求職活動実績として認められない活動
- 単なる新聞や求人サイト、雑誌による求人情報の閲覧
- 知人や友人への仕事の紹介依頼や相談
- 応募書類の準備、履歴書の作成のみ
- ハローワークのPCでの単なる求人情報の検索(職員との相談を伴わない場合)
これらは「就職に向けた準備活動」ではありますが、「積極的に就職しようとする具体的な行動」とは見なされず、実績にはなりません。
以下の記事では求職活動として認められない行動について更に詳しく紹介しています。
失業手当(失業保険)を受給するまでの全体プロセス
失業手当を受け取るためには、いくつかの手続きを踏む必要があります。スムーズに受給できるよう全体の流れを把握しておきましょう。
受給までのプロセス
離職からハローワークでの受給申し込みまでの流れ
失業手当を受給するための手続きは、離職後、会社から送られてくる離職票を受け取るところから始まります。
受給申込までの流れは以下の通りです。
離職票の受け取り
会社から離職票を受け取る。通常、退職から10日〜2週間ほどかかります。
ハローワークで求職の申し込み
住所地を管轄するハローワークに行き、求職の申し込みと受給資格の決定を受けます。
7日間の待期期間
申し込み日から7日間は、自己都合・会社都合に関わらず手当が支給されない待期期間があります。
初回説明会
待期期間満了後、指定された日に雇用保険受給者初回説明会に参加します。ここで認定日などが決まります。
認定日
認定日には、求職活動を記入した「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」をハローワークに提出します。
受給期間中の認定日と活動期間のサイクル
初回説明会以降は、原則として4週間に一度の「失業認定日」が設けられます。
この認定日に、前回の認定日から次の認定日の前日までの4週間(認定対象期間)におこなった求職活動実績を申告します。初回では会社都合で失業した場合1回以上、それ以降は実績が2回以上認められれば、手当が支給されます。
活動実績は、認定期間内におこなわれたもののみが有効です。計画的に2回以上の活動を確保することが、受給を途切れさせないための鍵です。
失業認定申告書への求職活動実績の書き方
失業手当の認定日には失業認定申告書を提出する必要があります。この失業認定申告書の中に自身のおこなった求職活動を記載します。
以下が失業認定申告書です。

求職活動をした場合はまず「ア 求職活動をした」に丸をつけます。その後自身のおこなった求職活動に応じて(1)欄、または(2)欄を埋めます。
ハローワークや転職エージェントで求人紹介、面談を受けた場合やオンラインセミナーを受講した場合は(1)欄に記載します。
転職サイトや求人情報誌を見て直接企業へ応募するなど職業紹介や相談を介さない場合は(2)欄に記入します。
以下の記事では求職活動実績の記載の仕方について詳しく紹介しています。気になる人は参考にしてみてくださいね。
求職活動のフリや嘘はバレる?危険性を解説
「失業手当をもらうために、とりあえず応募したフリをしよう」「受講していないセミナーを書いてしまおう」と考える人もいるかもしれません。しかし、求職活動の実績に対する嘘や不正申告は非常に危険です。
嘘の申告や偽りの活動実績が発覚した場合、それは不正受給と見なされ、厳しい罰則が科されます。
不正受給と判断される主なケースには以下があります。
不正受給と判断される主なケース
- 就職している事実を隠して手当を受け取った
- 架空の求職活動を申告した
- アルバイトなどの収入を申告しなかった
不正受給が確定した場合、原則としてそれ以降の手当はすべて支給停止となり、不正受給した金額の返還が命じられます。
また、不正受給の内容が悪質だと判断された場合は不正受給した金額の2倍を納付する追加徴収が適用されることもあります。
嘘のリスクを考えれば、確実で正直な活動をすることが、最も安全で賢い選択です。
オンラインセミナーで転職活動について学びながら求職活動実績とすることができますし、キャリアアドバイザーとの面談を通して将来のキャリアを考えることもできます。
求職活動実績で嘘をつく危険性について更に詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
失業手当の求職活動に関するよくある質問
頻繁に失業手当を受ける人は少なく、初めての受給や期間が空いてしまったことで申請について疑問を感じている人は多いです。
ここでは失業手当や求職活動に関するよくある質問をまとめたので参考にしてみてくださいね。
質問1:職業訓練を受ける場合、求職活動実績は必要ですか?
いいえ、原則不要です。
職業訓練(公共職業訓練)の受講が決定し、訓練が始まった後は、その期間中、求職活動実績は不要になります。職業訓練の受講自体が「就職に向けた積極的な活動」と見なされるためです。
訓練を受ける場合は、ハローワークにその旨を申告し手続きを行う必要があります。
質問2:求人サイトの閲覧や情報収集は実績になりますか?
いいえ、実績になりません。
求人サイトの閲覧や、インターネット上での一般的な情報収集は「準備行為」と見なされます。実績として認められるのは、その情報収集の結果、「応募」や「転職エージェントへの相談」といった具体的なアクションに繋がった場合のみです。
自宅での活動を実績にしたい場合は、転職サイトからの応募やオンラインセミナーの受講、Web上でのキャリアコンサルティングの予約などをおこないましょう。
質問3:認定日直前の活動でも回数にカウントされますか?
認定日前日までの活動は求職活動実績としてカウントされます。
認定日当日の活動は次回の求職活動実績としてカウントされてしまいます。
求職活動実績として認められるかや期間について不安がある場合利用するハローワークに確認を取るようにしましょう。
